溶接はカーボンニュートラルに貢献

皆さんは「溶接機をカーボンニュートラルにしても社会への貢献は微々たるもの」と思いますか。
溶接機自体のエネルギー消費を抑えて、溶接材料を環境にやさしくするのは直接的なカーボンニュートラルへの取り組みで溶接機メーカーは全力で取り組んでいますが、それ自体の世界環境に対する量的インパクトはそれほど大きくありません。
でも今回は、全く異なる視点で、如何に溶接・接合技術がカーボンニュートラルに貢献するかを説明します。

日本政府は2020年10月にカーボンニュートラルを宣言しました。「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の目標には、溶接・接合技術が開発されないと実現できない課題がたくさんあります。
エネルギーを例にとりましょう。

  • 水素エネルギーは特殊な鋼材を使う必要があるので、そのような鋼材が開発されれば、その溶接技術も必要ですよね。
  • 洋上風力発電は巨大な風車。柱の直径は10メートルにもなります。この柱は厚い板を曲げて溶接で繋ぐのですよ。
  • 核融合は夢の発電。ITER(国際核融合実験炉)がフランスに建設されましたが、巨大な構造物は溶接でつくっていて、普通なら曲がってしまいます。高い精度は日本ならではです。

次はDX(デジタルトランスフォーメーション)です。

  • 設計・生産の革命となるAM(3D積層造形技術)は、金属の3Dプリンターです。どんな形も自由自在につくることができます。全体を溶接でつくるようなものなので難しいのです。日本溶接協会はAM生産技術が日本中で使われるよう、全力で支援しています。

分かっていただけましたか。溶接・接合技術がどれだけカーボンニュートラルに貢献しているか。
日本溶接協会は2022年に「カーボンニュートラル実現と持続可能な発展を支える溶接・接合技術の革新」をテーマに溶接・接合国際会議とウエルディングショーを同時開催しました。

カーボンニュートラル特設会場の全景