今後も、人間ならではの技術が必要な溶接
職場インタビュー

ステンレス車両メーカーのさきがけとして60年以上の歴史を有した東急車輛製造(株)を前身とし、JR東日本グループの鉄道車両メーカーとして2012年に発足。品質に優れコストも低減できる共通プラットフォームである「sustina」ブランドを開発し、国内外に車両を供給している。
※(株)総合車両製作所のHPはこちらから

生産本部 生産部 台車課
係長
菅原 進さん
御社で活躍されている溶接技能者について教えてください
一人で2種類以上の資格を保有し、高い技量で活躍
当社の溶接技能者は、鉄道車両の台枠、妻、側、屋根の組み立ての溶接と、台枠床下の部品や台車の足回りの溶接をしています。10代から50代と幅広い年齢層が活躍。女性を含め約140名ほどが在籍し、一人で2種類以上の資格を保有しています。昨年の第69回全国溶接技術競技会では、当社の女性技能者が炭酸ガスアーク溶接の部で優秀賞という好成績を収めました。

溶接技能者育成のために取り組んでいることがあれば教えてください
「考えること」を重点的に意識づけていく
溶接に限らず、技能者は何も考えずただ仕事をしていたのでは、なかなか上達しません。溶接をしながら「こうすればもっと良くなるのではないか」と自ら疑問を持ち、考えたことを実践することが重要です。その繰り返しが技能向上へとつながります。「考えること」に重点的に意識づけを行うようにしています。
溶接技能者に向いているのはどんな人だと思いますか
向上心や探究心がある人に最適
慎重で細かい作業が好きな人。向上心・探究心も重要だと思います。また、安全に作業が行えることも大事ですね。

溶接という仕事の今後の可能性について教えてください
ロボット化が進む今後も、なくてはならないもの
近年、業界では自動化が進んでいます。台車溶接においても、ロボット溶接の導入が積極的に行われており、作業のスピードや精度が向上しています。とはいえ、ロボットには限界もあります。特に、複雑な形状や狭くてロボット溶接の行えない箇所の溶接や、美的センスを用いた美しい仕上げなど、経験を積み重ねた職人にしか担当できない仕事があり、人間の技術が必要です。溶接の知識・技術を持つ人は、今後も重要な役割を担っていくと思います。

溶接技能者を志す人へメッセージをお願いします
自分の成長が明確にわかる点が溶接の魅力
溶接作業は暗がりの中で行うので、全体の状況が把握しづらく、最初は誰でもミミズが這ったような仕上がりになります。でもそこで、なぜうまくいかないのか、どうしてこうなるのかを突き詰めて考えていくと、そこにはちゃんと理由があり、改善すれば仕上がりは一変します。目の前の結果が自分の実力のすべてで、身についた技能です。自分の成長が明確にわかる点が溶接の魅力であり、自らの技能探究に向けたモチベーションにもつながっていきます。どんな仕事でも同じですが、まずは楽しむこと。そして、楽しみながら人の役に立つものをつくれるのがものづくりのやりがいであり、面白さです。溶接は可能性にあふれた分野。仕事に誇りを持って、常にチャレンジし続けていくことで、自身の可能性も限りなく広がっていくと思います。
インタビュー
Welding World